Tokyo Document Recovery Assistance Force
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2014年1月31日金曜日

東京文書救援隊事業終了のご挨拶

東京文書救援隊は2011年3 月に起こった東日本大震災で被災した文書や写真資料等を救済・復旧するために、同年6月に発足、活動を始めたボランティアグループです。メンバーは東京地区の図書館やアーカイブズの館員や資料の保存修復を業とする企業や個人です。独自に開発した救済・復旧システム(以下、東文救システム)を基礎とし、現地あるいは他の地域で、救済・復旧作業を実施する団体・組織に対し、システムに必要な資材と、それを使いこなすためのスキル・トレーニングを提供する--これが隊の趣旨でした。

当初、まずは1年間の支援活動を、と考えました。自分達の体力、資力を見極める必要がありましたし、かつ私どもの支援策が被災地域等での復旧ニーズに合致するかどうかも十分にはわからなかったからです。ただただ、図書館・アーカイブズ等での資料保存に関わってきた人間として、東日本大震災津波の被災地域の復旧にいかほどでも寄与したい気持ちから、「歩きながら考える」「走りながら方策を練る」方針で支援事業を開始いたしました。

幸い、多くの方々と団体からご支援いただき、私どもの体制・体力にも見通しができました。また、何よりも肝心なこととして私どもに被災地等からの強い要請が寄せられました。当隊発足後1年の時点で、私どもが支援させていただいた文書救済・復旧作業が継続している箇所も幾つかございました。そういう状況でしたので、発足1年後に事業の延長を判断し、昨年11月までの2年半、活動を続けて参りました。

しかし、この間に状況は変化し、救済・復旧の事業は様々に継続していますが、私どもが主導して支援すべき状況ではなくなったと判断し、当隊の活動を終了することにいたしました。

ここに、この2年半の間、当隊にご支援を寄せられました方がた、諸団体の皆さま、また私どもに支援を要請され、一緒に取り組んで下さいました被災文書救済の関係者の皆さま方に、心からの深謝を申し上げ、事業終了をご報告いたします。

東文救システムについては、すでに当方のブログで繰り返し説明させていただきました。概略は、水に濡れ、泥をかぶり、あるいはカビが発生した文書等を、水を使わないドライ・クリーニングと水使用のウエット・クリーニング、そして独特の乾燥・フラットニング技術により、文書等を再度、使用・閲覧可能にする仕組みです。この仕組みは、これまで世界で工夫されてきた水害等で被災した文書等の救済方法を参考としつつ、誰でもが素早く習得できる一連の技術としてシステム化し、被災資料に効果的、効率的に処置を施すことができる大量保存システムとして考案したものです。また作業者の安全・健康を最大限に留意いたしました。そのうえで考案しました仕組みは、全体として見た場合、世界でも最高レベルの被災文書クリーニング・システムと自負しております。

このシステムについて、宮城歴史資料保全ネットワークの天野真志氏は「(東文救システムは)解体から洗浄、乾燥、製本にいたる一連の過程を1つのラインで実施することで各工程の分業化を実現した。そのため、一定のスペースと人員確保が可能であれば、短期間で大量の被災資料を洗浄することができる。また、洗浄過程で直接資料を触れることなく処置できるため、洗浄にともなう資料の破損リスクを軽減することができる。必要器材が比較的安価であり、かつ身近な生活品などで代用が可能であることから、専門的な設備を要さずとも洗浄処置を施すことのできるシステムとして注目されている。」と評価して下さっています。(『古文書研究』第75号、2013、p51.)

また大船渡市社会福祉協議会で被災写真の洗浄・救済を陣頭指揮された金野聡子さん(紙本保存修復士)は東文救システムを最初に導入された方ですが、「フローティング・ボード法(ウエット・クリーニングの手法)を初めて使ってみたのですが、正直な感想は『今までの苦労はなんだったの?』でございました。史料を傷める事なく綺麗にアクエリアス・トリートメントが行えます。」「エア・ストリーム乾燥(段ボールと扇風機を使って洗浄後の紙を乾燥する方法)にいたっても『この厚手の紙質の賞状がこんなに早くフラットニングできるなんて・・・今までなんだったの?』という事で、ドライからフラットニングまでの流れに無駄が無く本当に素晴らしいシステムです。」(同氏ブログ、2011年7月分より)と驚きとともに評価して下さいました。

天野真志氏は、当隊の活動全体についても「(東文救システムが)被災資料を救済するための実践的な技術であることの意味は大きく、そのことが作業従事者の拡大とそれにともなう大量復旧の実現につながっている。東京文書救援隊という活動は、保存・修復系分野による新たな歴史資料保全の活動形態として、注目される・・・」と書き加えて下さっています。(同上、p53.)

当システムの全体ではなくそのうちのドライ・クリーニングのみを使用されてきた機関・団体も多くあります。またこの装置は簡便なものですので、同方式を参考に自前で器材を用意して文書クリーニングを進められている機関もあります。東文救システムを活用された機関・団体等につきましては、下掲の一覧表をご覧下さい。当隊以外で、自前で組み立てて使用されている機関等があることも付加しておきます。

今次の大災害により被災した文書等に対し、東文救システムはまだまだ活用される場面が多いと考えています。また、今後の洪水等による被災資料の救済・復旧においても有用な手段として活用していただけるものと考えています。その趣旨から、当隊のブログをいつでも、誰でも、アクセスできるように保存することにいたしました。必要とされる方がたのご活用と、被災資料の性格に合わせた改良をいただければ幸いです。東文救システムは、前述のように、今回の東日本大震災で被災した文書資料復旧に特定したものです。すなわち、海水に浸り被災現場に放置され、水溶性のインク等のほとんどが流れたこと、海水の塩分が含まれていること、その間のカビの発生が顕著なこと等々です。このため洪水被災したが、現場からの救い出しが早めに行われた資料などに適用するさいには、それに合わせた改良を必要とするでしょう。システムを活用される方はぜひ、その活動や改良点を広くお知らせいただくことも希望いたします。

なお、当システムは海外でも注目されています。第15回東南アジア図書館人会議(2012年、インドネシア)に出席した安江明夫(東文救代表)は「防災計画:図書館のmust」と題する講演を行い、なかで東京文書救援隊の活動とシステムを紹介しましたが、聴衆に大きな関心を呼び起こました。また木部徹(事務局長)は英文の国際図書館連盟保存コアプログラム編集 International Preservation News(第59-60号、2013)に掲載された「津波で被災した文書の大量処置作業をコンサバターがアシストする」(Mass Treatment Recovery for Tsunami Damaged Document by Local People Assisted by Conservators)と題するレポートで当隊の活動とシステムを紹介し、高い評価を得ています。

このような事情に鑑み、本年(2014年)4月末の完成を目処に、東文救システムを説明する邦文とともに、英文版システムガイドラインを用意し、世界中からアクセスできるようにいたします。なお、必要資材については、そのほとんどが身の回り、あるいはネットショップから入手可能ですが、一部の資材は一般には入手が難しく、特定の業者のみで取り扱っているものもあります。これらも含めて資材と入手先の一覧を作り、これも4月末にご案内いたします。

最後に財政報告に関連して以下を付加します。活動資金約500万円は寄付金・助成金によります。このうち寄付金は32名の方から、助成金は2機関(メセナ事業団りんりん基金)から頂戴しました。また、当隊の活動を終了しました昨年(2013年)11月末の時点で、残金となった資金がございました。この残金は、東日本大震災津波で被災した文書等の救済・復旧に懸命な努力を続けておられる宮城歴史資料保全ネットワークに寄付させていただきました。この点につき、ご支援の皆さまのご了解をお願いいたします。

以上を記しまして、当隊活動終了のご挨拶といたします。皆さま、長期に亘り、本当に有難うございました。

2014年1月

東京文書救援隊
代表 安江明夫
事務局長 木部徹















活動報告書
平成23年6月1日~平成26年1月31日
東京文書救援隊

支援機関等 計15か所
年月日
導入先
2011年7月14日大船渡市社会福祉協議会
7月15日東北大学内宮城歴史資料保全ネットワーク(宮城資料ネット)
8月1日群馬県立文書館
8月2日岩手県遠野市遠野文化研究センター
9月5日宮城県石巻市教育委員会
9月12日岩手県宮古市(国立公文書館による被災公文書修復事業支援
11月14日法政大学環境サスティナビリティ研究教育機構(環境サス研)
2012年1月16日宮城県気仙沼市(国立公文書館による被災公文書修復事業支援
2月6日宮城県石巻市(国立公文書館による被災公文書修復事業支援
3月2日宮城県多賀城市教育委員会
5月30日神奈川県立公文書館
10月9日おもいでかえる」(仙台)
10月29日陸前高田被災資料デジタル化プロジェクト(東京総合写真専門学校)
2013年4月23日陸前高田市思い出の品
6月23日写真洗浄ボランティア課外のあらいぐま
この他、国立公文書館による被災公文書修復事業支援で、宮城県陸前高田市、宮城県仙台市、岩手県山田町に東文救システムが導入された。

東文救による発表等 計8件
年月日
講演その他
内容
2011年8月29日大学図書館問題第42回全国大会(開催地:東京)講演
9月13日全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)関東部会第263回定例研究会講演・システム実演
10月14日全国図書館大会第11分科会講演・システム実演
10月27~28日全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)群馬大会ポスター展示
11月8日繊維学会紙パルプ部会講演
12月21日奈良文化財研究所保存科学研究集会システム実演・ポスター発表
2012年5月29日東南アジア図書館人会議(インドネシア)講演
2014年1月23日福島大学人文社会群行政政策学類古文書学実習で実演講演・システム実演


展示 計2件
年月
展示場所
2012年3月仙台市博物館「東日本大震災1年 資料レスキュー展」
5月神奈川県立公文書館「陸前高田市被災公文書レスキュー事業」


出版物・メディア掲載 計23件
年月日
記事・論文・報告
2011年6月25日「自治体公文書 大震災で打撃」日本経済新聞
7月15日「被災の手紙など洗浄、大船渡の団体に乾燥用扇風機」日本経済新聞
7月18日「身近な道具で紙を修復」日本経済新聞
9月14日「東日本大震災:津波で汚れた公文書を修復-宮古/岩手」毎日新聞
10月「国立公文書館の動き(平成23年6月~9月)」『アーカイブズ』第45号
12月木部徹 「東京文書救援隊の文書復旧システム-その考え方と技術」 『平成23年度保存科学研究集会 被災文化財のレスキュー-保存科学の果たすべき役割と課題-予稿集』
2012年1月24日「被災文化財を救え」読売新聞
1月中田孝信 「平成23年度全国図書館大会ハイライト 第11分科会 災害と資料保存」 『図書館雑誌』 Vol.106 No.1
2月神奈川県立公文書館だより 第27号
2月高山正也 「被災アーカイブズを救え! - 「悲惨」から「明日への希望」の発見へ」 『アーカイブズ』第46号
3月安江明夫 「蔵書の防災計画:図書館の"must"」 『大学図書館研究』Vol.94
3月木部徹 「東京文書救援隊の文書復旧システム-その考え方と技術」 『全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)会報』 No.91
3月中台綾子 「第263回定例研究会参加記 被災資料の復旧を学ぶ」 『全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)関東部会会報』 No.77
4月岡田昭二 「災害と被災資料の救援活動-群馬県立文書館の取り組み-」 『双文』 Vol.29
4月瀧沢典枝 「宮城県女川町被災公文書の受け入れと応急措置」 『双文』 Vol.29
6月朝倉亮 「被災公文書等修復支援事業について」 『アーカイブズ』 第47号
9月金慶南 「歴史の記録・記憶をどう守るのか-公文書レスキュー」 『持続可能性の危機-地震・津波・原発事故災害に向き合って-』
9月さやマイルズ 「What can I do?」 『Icon News』 Issue 42
9月Emma Fraser 「Rescuing tsunami damaged photographs in Japan」(白岩洋子氏による発表の講演録) 『Icon News』 Issue 42
2013年9月「東日本大震災における”想い出の品”救済について」『大船渡市社会福祉協議会 災害記録集』
6月天野真志 「歴史資料の津波被害と保全対策」 『古文書研究』 第75号
8月木部徹 「Mass Treatment Recovery for Tsunami Damaged Document by Local People Assisted by Conservators」 『International Preservation News』 No.59-60
9月東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援委員会 『活動報告書』 平成23年度、平成24年度







初年度収支報告書
平成23年6月1日~平成24年5月31日
東京文書救援隊

(単位 円)
科目
決算
摘要
Ⅰ経常収入の部
1.寄付金収入
個人
法人・団体
2.助成金収入
3.その他
受取利息



1,465,000
1,482,520
1,991,000

243





メセナ事業団  りんりん基金



(経常収入合計)(A)
4,938,763
Ⅱ経常支出の部
1.事業費(活動費)
資材費
旅費交通費
荷造発送費
雑費
2.管理費
事務用品費
通信費
旅費交通費
支払手数料
保険料
租税公課



1,235,044
923,633
20,310
14,860

47,893
80,959
340
8,370
42,000
48







チラシ ポスター 名刺他
電話

振込手数料
ボランティア保険
受取利息税金
(経常支出合計)(B)
2,373,457

当期収支差額 (A)-(B)
2,565,306
次期繰越収支差額
2,565,306



2012~2013年度収支報告書
平成24年6月1日~平成26年1月30日
東京文書救援隊

(単位 円)
科目
決算
摘要
Ⅰ経常収入の部
1.寄付金収入
個人
法人・団体
2.その他
受取利息



20,000
100,000

540









(経常収入合計)(A)
120,540
Ⅱ経常支出の部
1.事業費(活動費)
資材費
旅費交通費
荷造発送費
雑費
2.管理費
外注費
通信費
支払手数料
保険料
租税公課
3.寄付金


833,487
466,926
26,398
6,633

150,000
72,319
5,775
4,200
108
1,120,000







翻訳料
電話
振込手数料
ボランティア保険
受取利息税金
宮城歴史資料保全ネットワーク
(経常支出合計)(B)
2,685,846

前期繰越額
2,565,306
当期収支差額 (A)-(B)
-2,565,306
当期繰越残高
0






<活動のまとめ>



2013年12月2日月曜日

活動終了のお知らせ

東京文書救援隊は2013年11月30日で活動を終了いたしました。2011年6月に活動を開始、2012年5月に終了する予定でしたが、1年間を更新し、さらに半年間の更新を経て、この度ひと区切りいたします。

事業・会計報告につきましては、諸手続が終了次第、本ブログへ掲載いたします。

2年6カ月の活動期間中、皆さま方には多大なご支援とご賛同を頂き、誠に有難うございました。


東京文書救援隊事務局

2013年8月2日金曜日

国際図書館連盟のInternational Preservation News最新号にて、東文救の活動を報告しました




国際図書館連盟(IFLA)資料保存分科会のニューズレター International Preservation News (IPN) の最新号(No59-60, August 2013)が8月1日に刊行されました。今回の特集はFrom Traditional to Digital Written Heritage: An Asian Perspective として、文化遺産や資料の保存について、アジアの視点からまとめられています。

この中で東京文書救援隊事務局長の木部が Mass Treatment Recovery for Tsunami Damaged Document by Local People Assisted by Conservators 「津波で被災した文書の大量処置を、現地の人々にコンサバターがアシスト」として、東文救の活動を報告しています。


記事の見出しは以下の通り。
Mass Treatment Recovery for Tsunami Damaged Document by Local People Assisted by Conservators / Toru Kibe
1. Introduction (はじめに)
2. Unprecedented disaster and damaged document (未曾有の災害と被災資料)
3. Drying within 48 hours of the disaster is recommended, but... (48時間以内に乾燥するよう言われているが…)
4. Rescuing and Air Drying (救出と風乾)
5. Developing Toubunq system (東文救システムの開発)
6. What is “recovery” of document? (文書の「復旧」とは何か?)
7. Supporting the disaster area to aid its recovery (被災地での文書復旧をサポート)
8. Features of Toubunq system (東文救システムの特徴)
9. Treatment procedure (処置方法)
10. Introduction of Toubunq system as employment measures (現地での雇用に東文救システムを導入)
11. Reference (参考文献)





『International Preservation News』 No59-60, August 2013
編集・刊行: IFLA PAC
発行日: 2013年8月1日
下記ページから全文をダウンロードできます。
IFLA PAC|August issue of International Preservation News just released!
http://www.ifla.org/node/7922


2013年7月2日火曜日

写真洗浄ボランティア【課外のあらいぐま】に東文救システムが導入されました

~写真を洗い、思い出を届けよう~
被災地支援・写真洗浄活動「あらいぐま作戦」


東京都武蔵野市で活動する「写真洗浄ボランティア 課外のあらいぐま」に6月23日、東文救システムが導入されました。課外のあらいぐまの活動は、吉祥寺のりす会という団体ではじめた写真洗浄活動「あらいぐま作戦」よりスタートし、その後を引き継いだ光が丘・心のあかりを灯す会を経て現在の活動まで引き継がれています。主に、陸前高田よりお預かりした被災写真を綺麗に洗い、乾かし、ポケットアルバムに入れお返しする活動を展開しています。設立から2年が経過し、現在では、被災地の現地の団体と連携しながら、不定期に「課外活動」という任意の形式で地域のコミュニティセンターで写真のクリーニングとデジタルスキャニング作業を継続しています。

今回の活動は、課外のあらいぐまから支援要請があり、東京文書救援隊スタッフが作業場所を訪問。協議の結果、張り付き剥がれなくなっている写真やカールした写真、また未洗浄写真の処置のために、洗浄、乾燥・フラットニングに必要な資材の提供と東文救システムの設営、スキル・トレーニングが決まりました。

東文救システムの設営とスキル・トレーニングには、白岩洋子氏(紙本・写真修復家)とともに東文救から2名のスタッフを派遣し、洗浄と乾燥方法を実演しました。白岩氏の協力を得て、被害の酷い写真や処置判断に迷うものへのアドバイスとともに、洗浄にフローティングボード法、乾燥・フラットニングにエア・ストリーム乾燥法を適用した一連の工程をボランティアの方々と一緒に行いました。

スタッフの方からは「ドライクリーニングだけでは除去が難しかった砂や汚れがさらに綺麗になり、処置効果が実感できた。もっと早くこのシステムを使えればよかった」というお誉めの言葉をいただきました。

東文救のこの活動は、りんりん基金の支援を受けています。



課外のあらいぐま ボランティアの方々の作業風景。


白岩氏による写真洗浄のデモンストレーション。


乾燥・フラットニングにはエア・ストリーム乾燥法を使用した。


大きくカールした手前が自然乾燥したもの。奥が洗浄後エア・ストリーム乾燥法で乾燥したもの。
自然乾燥したものと比べると波打ちとカーリングが圧倒的に少ない。


2013年5月31日金曜日

活動期間を半年間、延長します


お陰様を持ちまして、東京文書救援隊は2011年6月の活動開始から丸2年となります。この間、皆さま方には多大なご支援とご賛同を頂き、誠に有難うございます。

現在も各方面から東文救システムの導入等に関わる問合せがありますので、活動を半年間延長し、2013年11月末まで継続することにいたしました。なお、本2年度(2012年6月~2013年5月)の事業・会計報告につきましては、2013年12月以降にまとめて掲載いたします。

皆さま方の引き続きのご理解、ご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。


東京文書救援隊事務局

2013年5月21日火曜日

総務省「震災関連デジタルアーカイブ構築・運用のためのガイドライン」が公開されています

総務省のホームページに「震災関連デジタルアーカイブ構築・運用のためのガイドライン(2013年3月)」が公開されました。

【第2章 被災資料の応急措置、修復、保存について】では、東日本大震災における事例を紹介しており、「事例 1)東京文書救援隊による津波等により海水損した文書資料の応急措置から修復までの作業」として、東文救システムも詳しく掲載されています。



2013年5月7日火曜日

【陸前高田市 思い出の品】に東文救システムが導入されました

岩手県陸前高田市で活動する、陸前高田市 「思い出の品」に4月27日、東文救システムが導入されました。「思い出の品」は、陸前高田市から委託を受けた陸前高田市社会福祉協議会の思い出の品スタッフが、ボランティア等との恊働のもと、津波で流されたのちに届けられた写真や卒業証書、トロフィー、盾、ご位牌、木像、スポーツ用品、ランドセル等の「思い出の品」を、もとの持ち主の方にお返しできるようにと、活動しています。現在、4名のスタッフが正式雇用されており、今後年単位でこの活動が継続されるとのことです。

東文救の今回の活動は、白岩洋子氏(紙本・写真修復家)から支援要請があり、協議の結果、未洗浄の卒業証書、賞状、年賀状、プリント写真など、紙類への処置のために、ドライ・クリーニング、洗浄、乾燥・フラットニングに必要な資材の提供と現地での東文救システムの設営、スキル・トレーニングを行うことが決まりました。

当日の東文救システムの設営とスキル・トレーニングには、白岩氏とともに東文救から2名のスタッフを派遣しました。また、写真修復の専門家である白岩氏は、写真の洗浄処置を思い出の品スタッフの方々と一緒に行いました。

スタッフの方々からは、これから効率よく洗浄と乾燥作業が進むとともに、とてもきれいになったものを持ち主の方々にお返しできることが大変嬉しい、との評価をいただきました。 コンテナにはまだ大量の賞状や未洗浄の写真があり、思い出の品々を持ち主の方にお返しできるように、今後このシステムを有効に利用していきたいとのことです。

東文救のこの活動は、りんりん基金の支援を受けています。



陸前高田市 「思い出の品」返却会場




スタッフの方々へのシステムの説明とドライ・クリーニングから洗浄、乾燥までの一連の工程を実演した。



白岩氏による写真洗浄のデモンストレーション。乾燥・フラットニングにはエア・ストリーム乾燥法を使用した。



処置後の資料のきれいな仕上がりに皆さん満足されていた。

2012年10月12日金曜日

【大切な思い出がかえりますように…】
震災復興ボランティア団体「おもいでかえる」の写真洗浄作業に東文救システムを導入

仙台市若林区で活動する震災復興ボランティア団体「おもいでかえる」に10月9日、東文救システムが導入されました。同団体は、東日本大震災後、仙台市内で回収された写真を洗浄し持ち主に返す取り組みを続ける市民団体。今年3月まで仙台市農業園芸センターで写真洗浄ボランティアを行っていたメンバーを中心に設立。若林区荒井の旧剣道場を活動拠点として、中心メンバー約10人と宮城県内外のボランティアが、アルバムからの写真の切り抜き、水洗いや乾燥作業を行っています。ネガや写真の他に、賞状などがあり、現在までに写真、アルバムなど合計360冊、写真の総計にして約21,500枚もの写真洗浄を完了しているとのことです。

今回の活動は、白岩洋子氏(紙本・写真修復家)から支援要請があり、東京文書救援隊スタッフが現地を訪問。協議の結果、未洗浄の賞状約300枚、プリント写真など紙類への処置のために、ドライクリーニング、洗浄、乾燥・フラットニングに必要な資材の提供と現地での東文救システムの設営、スキル・トレーニングが決まりました。

東文救システムの設営とスキル・トレーニングには、白岩氏とともに東文救から2名のスタッフを派遣し、ドライクリーニング、洗浄、乾燥方法を実演しました。写真修復の専門家である白岩氏は、被害の酷い写真や処置の判断に迷うものへアドバイスし、洗浄処置などをボランティアの方々と一緒に行いました。また、被災写真の洗浄にフローティングボード法、乾燥・フラットニングにエア・ストリーム乾燥法を適用した処置を実演しました。ボランティアの方々からは、これまで以上に効率よく洗浄と乾燥作業が進むとの評価をいただきました。

震災復興ボランティア団体「おもいでかえる」のブログサイトには発足から現在までの活動報告が掲載されています。未洗浄の写真の早急な対応、まだ持ち主の元へ戻されていない写真や思い出の品々の対応を、今後も長期的に行なっていきたいとのことです。

東文救のこの活動は、りんりん基金の支援を受けています。



当日参加されたボランティアの方々。一枚一枚丁寧に写真の洗浄作業を行なっている。



賞状はすでにボランティアの方々によりドライクリーニングが終了していたため、復旧システムの洗浄と、その後の乾燥・フラットニングを主に行なった。



白岩氏によるバライタ写真洗浄のデモンストレーション。乾燥・フラットニングにはエア・ストリーム乾燥法を使用した。



左が自然乾燥したもの。右がエア・ストリーム乾燥法で乾燥したもの。自然乾燥したものと比べると波打ちとカーリングが圧倒的に少ない。


震災復興ボランティア団体「おもいでかえる」のブログサイトでご紹介いただきました。

2012年10月3日水曜日

陸前高田被災資料デジタル化プロジェクトにドライクリーニング・ボックスを貸与しました

被災した陸前高田市の市立博物館の写真資料の修復保存とデジタル化を進めている陸前高田被災資料デジタル化プロジェクトに東文救が開発したドライクリーニング・ボックスが5台無償貸与され、作業現場である東京総合写真専門学校などに導入されました。

東文救のこの活動は、りんりん基金の支援を受けています。



陸前高田被災資料デジタル化プロジェクトの活動履歴のページでご紹介いただいています。

2012年9月21日金曜日

全史料協関東部会例会「公文書レスキュー活動と地域資料の保全体制について」が開催、神奈川県立公文書館と茨城県内の活動報告

9月14日に神奈川県立公文書館に於いて全史料協関東部会第268回定例研究会が開催され、神奈川県立公文書館資料課行政資料グループ遠藤茂氏と同被災公文書レスキュー隊リーダー木本洋祐氏による「神奈川県立公文書館の陸前高田市役所公文書レスキュー活動について」と、常陸大宮市歴史民俗資料館学芸員の高村恵美氏による「茨城県内における地域レスキュー活動と自治体」が報告されました。




神奈川県立公文書館のレスキュー活動では、東京文書救援隊システムの内、簡易ドライクリーニングボックス、密閉型ドライクリーニングボックス、エアストリーム法による乾燥が導入されています。今月末に作業は終了し、1,227冊全ての簿冊が陸前高田市に返還される予定です。





2012年7月9日月曜日

国立公文書館編集・刊行『アーカイブズ:Archives』第47号が刊行されています


国立公文書館から『アーカイブズ:Archives』第47号が刊行されています。表紙では東文救システムを利用した、国立公文書館による被災公文書等の修復手順を写真で紹介しています。

また、朝倉亮氏『被災公文書等修復支援事業について』(PDF 829KB)では、国立公文書館が平成23年度に行った「被災公文書等修復支援事業」実施までの経緯と、東北各地で行った支援事業を地域ごとに報告しています。

国立公文書館では「被災公文書等修復支援事業」の中で当初から東文救システムを導入しており、「当該修復方法は、短期間の研修によって必要な技術を習得でき、必要な機材及び消耗品が比較的安価に調達できるため、被災自治体における導入が容易なものとして選択したものである。」(p.29)と評価していただいています。


『アーカイブズ:Archives』第47号
編集・刊行: 独立行政法人国立公文書館
発行日: 2012年6月1日
下記ページから全文をダウンロードできます。
アーカイブズ:第47号 (平成24年6月)


国立公文書館による今年度の被災公文書等修復支援事業については、以下のリンクをご覧ください。


2012年6月27日水曜日

東京文書救援隊の初年度活動報告および本2年度に向けて

2011年6月に発足しました東京文書救援隊は、活動開始から1年を経過しております。この間、皆さま方には多大のご支援、ご厚情をいただき、真に有難うございました。この機会に改めて、深謝申し上げます。

お陰さまで私どもは、隊設立の志と趣旨に即し、東日本大震災により被災した図書・文書類の救済・復旧現場に対し、考案しました文書復旧システム(略称:東文救システム)の導入支援を行ってきております。その具体的内容は昨年末に発足以来の活動報告をやや詳細にいたしましたので、今次は、私共が初年度に行った事業の報告と会計報告を一覧表でお示しいたします。各具体例につきましては、逐次、当方ブログhttp://toubunq.blogspot.com/ に掲載しておりますのでご参照いただければ幸いです。

私どもの技術システムと活動は、被災文書等復旧に当たっておられる諸々の機関・団体の方がた及び文書等保存の関係者から、大変、高い評価を得ておりますことを併せてご報告いたします。

私どもは、発足当初、まずは1年間を活動の目途としていると申し上げました。が、今年に入ってからも各方面から文書等復旧に関わる相談・問合せがありますので、要請に応え、活動を継続することにいたしました。本2年度目は、従来の活動内容を踏襲するとともに、全国的・地域的な被災文書等支援ネットワークとのより緊密な協同を念頭に、一層、強力かつ幅広い支援を心がけてまいりたいと存じております。

皆さま方の引き続きのご理解、ご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。


東京文書救援隊
代表 安江明夫
事務局長 木部徹

















初年度活動報告書
平成23年6月1日~平成24年5月31日
東京文書救援隊

支援機関等 計11か所
年月日
導入先
2011年 7月14日 大船渡市社会福祉協議会
7月15日 東北大学内宮城歴史資料保全ネットワーク(宮城資料ネット)
8月1日 群馬県立文書館
8月2日 岩手県遠野市遠野文化研究センター
9月5日 宮城県石巻市教育委員会
9月12日 岩手県宮古市(国立公文書館による被災公文書修復事業支援)
11月14日 法政大学環境サスティナビリティ研究教育機構(環境サス研)
2012年 1月16日 宮城県気仙沼市(国立公文書館による被災公文書修復事業支援)
2月6日 宮城県石巻市(国立公文書館による被災公文書修復事業支援)
3月2日 宮城県多賀城市教育委員会
5月30日 神奈川県立公文書館
この他、国立公文書館による被災公文書修復事業支援で、宮城県陸前高田市、宮城県仙台市、岩手県山田町に東文救システムが導入された。

東文救による発表等 計7件
年月日
講演その他
内容
2011年 8月29日 大学図書館問題第42回全国大会(開催地:東京) 講演
9月13日 全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)関東部会第263回定例研究会 講演・システム実演
10月14日 全国図書館大会第11分科会 講演・システム実演
10月27~28日 全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)群馬大会 ポスター展示
11月8日 繊維学会紙パルプ部会 講演
12月21日 奈良文化財研究所保存科学研究集会 システム実演・ポスター発表
2012年 5月29日 東南アジア図書館人会議(インドネシア) 講演


展示 計2件
年月
展示場所
2012年 3月 仙台市博物館「東日本大震災1年 資料レスキュー展」
5月 神奈川県立公文書館「陸前高田市被災公文書レスキュー事業」


出版物・メディア掲載 計15件
年月日
記事・論文・報告
2011年 6月25日 「自治体公文書 大震災で打撃」日本経済新聞
7月15日 「被災の手紙など洗浄、大船渡の団体に乾燥用扇風機」日本経済新聞
7月18日 「身近な道具で紙を修復」日本経済新聞
9月14日 「東日本大震災:津波で汚れた公文書を修復-宮古/岩手」毎日新聞
10月 「国立公文書館の動き(平成23年6月~9月)」『アーカイブズ』第45号
12月 木部徹 「東京文書救援隊の文書復旧システム-その考え方と技術」 『平成23年度保存科学研究集会 被災文化財のレスキュー-保存科学の果たすべき役割と課題-予稿集』
2012年 1月24日 「被災文化財を救え」読売新聞
1月 中田孝信 「平成23年度全国図書館大会ハイライト 第11分科会 災害と資料保存」 『図書館雑誌』 Vol.106 No.1
2月 神奈川県立公文書館だより 第27号
2月 高山正也 「被災アーカイブズを救え! - 「悲惨」から「明日への希望」の発見へ」 『アーカイブズ』第46号
3月 安江明夫 「蔵書の防災計画:図書館の"must"」 『大学図書館研究』Vol.94
3月 木部徹 「東京文書救援隊の文書復旧システム-その考え方と技術」 『全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)会報』 No.91
3月 中台綾子 「第263回定例研究会参加記 被災資料の復旧を学ぶ」 『全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)関東部会会報』 No.77
4月 岡田昭二 「災害と被災資料の救援活動-群馬県立文書館の取り組み-」 『双文』 Vol.29
4月 瀧沢典枝 「宮城県女川町被災公文書の受け入れと応急措置」 『双文』 Vol.29





初年度収支報告書
平成23年6月1日~平成24年5月31日
東京文書救援隊

(単位 円)
科目
決算
摘要
Ⅰ経常収入の部
1.寄付金収入
個人
法人・団体
2.助成金収入
3.その他
受取利息



1,465,000
1,482,520
1,991,000

243





メセナ事業団  りんりん基金



(経常収入合計)(A)
4,938,763
Ⅱ経常支出の部
1.事業費(活動費)
資材費
旅費交通費
荷造発送費
雑費
2.管理費
事務用品費
通信費
旅費交通費
支払手数料
保険料
租税公課



1,235,044
923,633
20,310
14,860

47,893
80,959
340
8,370
42,000
48







チラシ ポスター 名刺他
電話

振込手数料
ボランティア保険
受取利息税金
(経常支出合計)(B)
2,373,457

当期収支差額 (A)-(B)
2,565,306
次期繰越収支差額
2,565,306




<文書等復旧作業風景>

ドライクリーニング/神奈川県立公文書館









作業に携わった方々と一緒に/プロジェクト結、富士ゼロックス

2012年6月21日木曜日

プロジェクト結(ゆい)と富士ゼロックスの被災文書救済・復旧活動に東文救システムを導入―259人が従事

2012年6月11日(月)~14日(木) の4日間、宮城県石巻市桃生総合センターの体育館にて、石巻市教育委員会、プロジェクト結富士ゼロックス、東京文書救援隊の協働で、石巻市内の被災した学校が所有する永久保存文書の復旧作業が行われました。

今回の活動は、被災地石巻の複数の学校が持つ被災文書を救済する活動支援のため、現地でボランティア活動を展開するプロジェクト結(東日本大震災で被災した子どもたちの学びと遊びを支援するためのコンソーシアム)から支援要請があり、プロジェクト結の賛同団体である富士ゼロックスの協力により実現。同社の被災地復興支援の一環として新入社員259人を現地に派遣し、人海戦術で学校の永久保存文書約10,000枚の復旧作業を行うというもの。東京文書救援隊は、現地での設営とスキル・トレーニング、作業のフォローをする支援のかたちになりました。

東文救は3名の技術者を4日間派遣し、富士ゼロックスの社員の方々に設営と機材への細かいアドバイス、文書のナンバリングから解体、ドライクリーニング、洗浄、乾燥方法を実演・指導しました。4日間の内、実作業時間は延べ8時間。最終的に47冊、4,500枚の文書の洗浄が完了しました。また乾燥まで終了した一部の資料を東文救スタッフが綴じ直しまで行いました。その他の資料には、資料形態と状態に合わせた指示書を添え、今回の支援活動を終了しました。

重要文書類については、資料の復旧後に、富士ゼロックスのデジタル複合機でコピーを作り、デジタル化も行いました。富士ゼロックスは今後、プロジェクト結と連携して被災文書の復旧活動を継続的に行う予定であるとのことです。

東文救のこの活動は、りんりん基金の支援を受けています。




写真左:屋外で行うドライクリーニングのためのテント設営風景
写真中:資料状態を確認しながら、ナンバーを付けた。日程を考慮し、優先度の高い資料の中から、復旧処置が可能な60冊を選別した。
写真右:(左から)プロジェクト結 理事長 長尾彰氏、理事 中川綾氏、東文救スタッフ、富士ゼロックストレーナー村上氏の打合せ





東文救スタッフによる文書復旧システムの一連の工程の実演と技術指導




被災資料の復旧処置をする富士ゼロックス新入社員の皆さん。東文救処置ラインが13ライン設置され、チームごとに作業をスタートした