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2012年6月4日月曜日

新刊『災害から文化財をまもる』--NPO宮城ネットワークによる被災資料レスキューも



文化財保存修復学会編『文化財の保存と修復14 災害から文化財をまもる』が刊行されました。昨年12月に国立民族学博物館で開催されたシンポジウムの記録です。


基調講演―――――――――
1. 阪神・淡路大震災から東日本大震災 三輪嘉六(九州国立博物館長)
2. 3.11大震災と宮城ネットの被災資料レスキュー活動からみえてきたこと 
  佐藤大介(東北大学災害科学国際研究所助教、NPO法人宮城歴史資料
  保全ネットワーク事務局長)

活動報告―――――――――
1. 1995年、阪神・淡路大震災での文化財救出作業について 
  内田俊秀(京都造形芸術大学・災害対策調査部会 理事)
2. 新潟県中越地震における活動の課題 救援の要請と被災資料の修理 
  本田光子(九州国立博物館学芸部博物館科学課長)
3. 能登半島地震における文化財復興支援活動 被災資料の調査・修復から復興へ
  中村晋也(金沢学院大学文学部歴史文化学科准教授)
4. 東日本大震災における文化財レスキューについて 民俗資料を中心に
  日高真吾(国立民族学博物館)

パネルディスカッション―――――――――
文化財レスキュー16年の歩みと今後 コーディネーター 森田 稔(九州国立博物館副館長)

このうち佐藤大介氏の「3.11大震災と宮城ネットの被災資料レスキュー活動からみえてきたこと」は、2003年7月に発生した宮城県北部での直下型地震による被災資料のレスキューから始まった宮城歴史資料保全ネットワークのこれまでの活動経緯の紹介。とりわけ、「災害が起こってから活動するのではなく、災害の「前」にできるだけ多くの歴史資料の所在を確認し、それを保全していくことが重要である」(p.27)という指摘は、とかく「被災後」のレスキューに力点が置かれがちな災害対策の在り方を見直す意味でも重要と思います。

 宮城歴史資料保全ネットワークでは様々なレスキュー法のひとつとして東文救システムも導入しており、そのことも文中で触れていただいています(p.37-38)。


 文化財の保存と修復14 『災害から文化財をまもる』
編集: 一般社団法人 文化財保存修復学会
発行日: 2012年6月2日
発行所: ㈱クバプロ
http://www.kuba.co.jp/syoseki/detail.php?no=3270
判型: B5判変形、113p
定価: 1,200円(税別)