2011年8月30日火曜日

被災文化財等救援委員会「海水で濡れた資料の殺菌燻蒸による発がん性物質等発生のリスクの調査結果について」

東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援委員会は29日、石崎武志事務局長名で被災県教育委員会文化財課及び関係団体に対し「海水で濡れた資料を殺菌燻蒸することによる発がん性物質等のリスクの調査結果について」を公表した。

これは7月22日付で公表した文書「海水で濡れた資料を殺菌燻蒸することによる発がん性物質発生のリスクについて」に続くもので、その後の検討結果の報告になる。

救援委員会では海水に浸水した紙などをサンプルにして燻蒸による生成物質の調査をした。酸化エチレンと酸化プロピレンとで乾いたものと濡れたものとを燻蒸し、生成物質(クロロヒドリン類、グリコール類)の分析をした結果、生成物質は乾いた状態でより少ない傾向が認められたとしている。酸化エチレンについては医療関係のガス滅菌の残留限度値に、また酸化プロピレンについては残留限度値が無いことから酸化エチレンでの値を参考にした。

いずれのガスの場合も、事前に資料を十分に乾かすことで、大きな問題はないとしているものの、どうしても必要と判断される場合に実施するのが望ましいとしている。

なお、医療関係でのガス滅菌の残留限度値も、生成物質の多寡についての数値も、この文書の中では触れられていない。