東京文化財研究所はこのほど、「海水で濡れた資料を殺菌煉蒸することによる発がん性物質発生のリスクについて」を発表しました。
海水で浸水した資料(主に海の塩の成分として塩化ナトリウムを含む)については、とくに濡れたまま煉蒸を行うと、原理的には、塩分に含まれる塩素と殺菌燥蒸剤の酸化エチレンまたは酸化プロピレンが反応し、クロロヒドリンのような人体毒性が強い物質(発がん性物質であることがはっきりしている物質、あるいは発がん性や生殖細胞変異原性が疑われる物質)の発生が懸念されるとしています。現在、殺菌煉蒸による影響の調査を実施しており、8月上旬に結果が判明するとのこと。 これに替わる、安全性の高い殺菌法についての言及は、この発表文では、ありません。ぜひ、示していただきたいものです。
海水で濡れた資料を殺菌煉蒸することによる発がん性物質発生のリスクについて