仙台市若林区で活動する震災復興ボランティア団体「おもいでかえる」に10月9日、東文救システムが導入されました。同団体は、東日本大震災後、仙台市内で回収された写真を洗浄し持ち主に返す取り組みを続ける市民団体。今年3月まで仙台市農業園芸センターで写真洗浄ボランティアを行っていたメンバーを中心に設立。若林区荒井の旧剣道場を活動拠点として、中心メンバー約10人と宮城県内外のボランティアが、アルバムからの写真の切り抜き、水洗いや乾燥作業を行っています。ネガや写真の他に、賞状などがあり、現在までに写真、アルバムなど合計360冊、写真の総計にして約21,500枚もの写真洗浄を完了しているとのことです。
今回の活動は、白岩洋子氏(紙本・写真修復家)から支援要請があり、東京文書救援隊スタッフが現地を訪問。協議の結果、未洗浄の賞状約300枚、プリント写真など紙類への処置のために、ドライクリーニング、洗浄、乾燥・フラットニングに必要な資材の提供と現地での東文救システムの設営、スキル・トレーニングが決まりました。
東文救システムの設営とスキル・トレーニングには、白岩氏とともに東文救から2名のスタッフを派遣し、ドライクリーニング、洗浄、乾燥方法を実演しました。写真修復の専門家である白岩氏は、被害の酷い写真や処置の判断に迷うものへアドバイスし、洗浄処置などをボランティアの方々と一緒に行いました。また、被災写真の洗浄にフローティングボード法、乾燥・フラットニングにエア・ストリーム乾燥法を適用した処置を実演しました。ボランティアの方々からは、これまで以上に効率よく洗浄と乾燥作業が進むとの評価をいただきました。
震災復興ボランティア団体「おもいでかえる」のブログサイトには発足から現在までの活動報告が掲載されています。未洗浄の写真の早急な対応、まだ持ち主の元へ戻されていない写真や思い出の品々の対応を、今後も長期的に行なっていきたいとのことです。
東文救のこの活動は、りんりん基金の支援を受けています。
当日参加されたボランティアの方々。一枚一枚丁寧に写真の洗浄作業を行なっている。
賞状はすでにボランティアの方々によりドライクリーニングが終了していたため、復旧システムの洗浄と、その後の乾燥・フラットニングを主に行なった。
白岩氏によるバライタ写真洗浄のデモンストレーション。乾燥・フラットニングにはエア・ストリーム乾燥法を使用した。
左が自然乾燥したもの。右がエア・ストリーム乾燥法で乾燥したもの。自然乾燥したものと比べると波打ちとカーリングが圧倒的に少ない。
震災復興ボランティア団体「おもいでかえる」のブログサイトでご紹介いただきました。