Tokyo Document Recovery Assistance Force
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2011年6月1日水曜日

私たちがお手伝いできること

私たちがお手伝いできること-それは被災現場から救出された書類、書籍、写真等をモノとして利用できる状態に戻すための文書復旧システムの導入支援です。具体的には現場での処置システム設計と、簡単なスキル・トレーニングです。支援対象は図書館、アーカイブズのほか役所、学校、病院、企業、寺社、個人等です。私たちは、資料救出に当たられている方達と連携するとともに、被災現場で困難に遭遇している方達への直接的な支援を行います。



はじめに

今回の東日本の大震災により被災した資料の救出が各地で始まっています。各地域単位の資料レスキュー・ボランティア組織、また文化庁指導レスキュー・プログラム傘下の組織等が、困難な現場で救出作業を行っています。

被災現場から救いだされた資料は、海水を被っているため、できるだけ早い時期に乾燥させる必要があります。少なくない数の資料に対し既に真空凍結乾燥等の処置が行われています。また、現場での自然乾燥も行われています。

しかし、資料の大半は乾燥したままの状態では利用できないのが現実です。泥を落とし、汚れや塩分を洗い流し、初期の乾燥による変形や歪みを直して紙を平らな状態に戻す処置が必要です。私たちが提供するのは、そのための文書復旧システムとその導入支援です。


シンプルかつ廉価で、専門的なスキルは不要

この文書復旧システムに使用する資材は入手が容易かつ廉価で、処置作業もシンプルな工程の組み合わせです。このため、専門的な処置技術のない現場でも、作業場所、マンパワー、一定の資金の目処がつけば、私たちボランティア・グループによる2日間程度のスキル・トレーニングを受けた後に、処置ラインを組み、すぐに作業を始めることができます。

国内外の様々な被災資料の現場で復旧に使われてきた方法と私たちが培ってきたノウハウと技術を組み合わせた処置システムは、少数の作業者で運営できます。また、被災資料の量、マンパワー、作業時間に応じたラインの増減が容易です。

とはいえ、被災地では資材の入手もままならないことがあるでしょう。資金的に困難な場合も、特に民間においては想像されます。こうしたところへのサポートも、可能なかぎり行います。ご相談下さい。


対象とする被災資料とは?

以下のような、紙媒体の資料です。

・一枚もの(ポスター、新聞、地図、図面、書簡、葉書、賞状、書類等)
・簿冊
・ファイル文書
・和装本、漢籍
・小冊子・雑誌
・洋装書籍
・紙焼き写真

※紙媒体以外の資料の復旧については、別の専門機関やボランティア・グループをご紹介します。


現場での処置開始までの流れ

① 救援隊への電話、メールなどでのお問合せ

② 救援隊スタッフが資料等確認のために出張し、依頼者と打合せ 

③ 現地での必要資材の調達、作業場所および作業スタッフの確保の確認

④ 機材等の搬入・設営と依頼者(作業責任者や作業者)へのスキル・トレーニング⇒実際の処置開始 (併せて2日程度)


文書復旧システムの公開説明会

私どもは、提供する文書復旧システムを実際にご覧いただく機会を設けております。どのような機材を使用し、どのように処置を進めるか、その一連の作業工程をご案内いたします。そのために被災地及び東京地区での公開説明会を予定しています。期日・場所は当HPで順次、お知らせします。また、電話・メール等でのお問合せにも応じます。


乾燥が十分ではなくカビも心配な場合

私たちの支援は、応急的に救出され乾燥を終えた資料への復旧処置が主です。しかし、現場から救い出したものも、まだ乾燥が十分ではなく、カビやバクテリアの繁殖が懸念される資料もあると想像されます。少量の場合は私たちが提供する処置ラインへのアルコール殺菌工程の組込みができます。また、大量の資料の乾燥処置については現在、技術的な点を調整中で、近々紹介いたします。
(追記:こちらをどうぞ。日本ファイリングが東日本最大規模の真空乾燥と滅菌の一貫処置設備を稼働へ