東京文化財研究所はこのほど、「被災文化財について殺菌燻蒸、およびその後のクリーニングを 実施する場合の注意点 」を同研究所HPに発表した。
このうち「2. 殺菌燻蒸後のクリーニング実施上の注意点」では、
燻蒸したからといって、安心せず、カビが顕著な作品などを扱う作業の際には、十分な装備(防塵マスク(少なくとも国家検定規格 DS2 以上の性能、または米国 NIOSH 規格 N95 以上の性能を有するものを使用のこと、中でも活性炭入りのものが望ましい)、作業着、頭髪をカバーする使い捨ての手術用キャップなど)を装着することを怠らず、作業後の手洗い、うがいを徹底する。また、防塵マスク使用の際は、よく装着方法を読み、正しく装着する練習を行っておく。
また、作業する空間については、食事や休憩をする休憩室とは空間を厳密に分け、汚染された業着のまま休憩室に入ることは避け、ほかの空間を汚染しないよう注意する。
一度、カビのアレルギーに感作してしまうと、少量のカビでも発作がおきるようになってしまう。とくに、アレルギー体質やぜんそくの方は厳重な注意が必要であり、ご自身がそうでなくとも、家族にそのような体質の方がいる場合には、汚染された衣類などによる二次被害をおこさないよう、注意が必要である。
各自の装備だけでなく、作業を行う環境の管理も必要である。特に乾式クリーニングなどでカビが飛散する場合、それをできるだけ排気する工夫と集塵する工夫が必要である。空気清浄機は文化財用にはフィルター式のものだけが使用できるが、フィルターの管理には留意する。一般的なエアコンのフィルターではカビの胞子レベルの粉塵については十分な集塵はできない。ただし、カビの胞子レベルの浮遊塵でも、翌朝机上や床面のふき取りを行うことで、前日の作業で飛散したカビの集塵としての高い効果が期待できる。
--等を挙げている。