Tokyo Document Recovery Assistance Force
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2012年10月12日金曜日

【大切な思い出がかえりますように…】
震災復興ボランティア団体「おもいでかえる」の写真洗浄作業に東文救システムを導入

仙台市若林区で活動する震災復興ボランティア団体「おもいでかえる」に10月9日、東文救システムが導入されました。同団体は、東日本大震災後、仙台市内で回収された写真を洗浄し持ち主に返す取り組みを続ける市民団体。今年3月まで仙台市農業園芸センターで写真洗浄ボランティアを行っていたメンバーを中心に設立。若林区荒井の旧剣道場を活動拠点として、中心メンバー約10人と宮城県内外のボランティアが、アルバムからの写真の切り抜き、水洗いや乾燥作業を行っています。ネガや写真の他に、賞状などがあり、現在までに写真、アルバムなど合計360冊、写真の総計にして約21,500枚もの写真洗浄を完了しているとのことです。

今回の活動は、白岩洋子氏(紙本・写真修復家)から支援要請があり、東京文書救援隊スタッフが現地を訪問。協議の結果、未洗浄の賞状約300枚、プリント写真など紙類への処置のために、ドライクリーニング、洗浄、乾燥・フラットニングに必要な資材の提供と現地での東文救システムの設営、スキル・トレーニングが決まりました。

東文救システムの設営とスキル・トレーニングには、白岩氏とともに東文救から2名のスタッフを派遣し、ドライクリーニング、洗浄、乾燥方法を実演しました。写真修復の専門家である白岩氏は、被害の酷い写真や処置の判断に迷うものへアドバイスし、洗浄処置などをボランティアの方々と一緒に行いました。また、被災写真の洗浄にフローティングボード法、乾燥・フラットニングにエア・ストリーム乾燥法を適用した処置を実演しました。ボランティアの方々からは、これまで以上に効率よく洗浄と乾燥作業が進むとの評価をいただきました。

震災復興ボランティア団体「おもいでかえる」のブログサイトには発足から現在までの活動報告が掲載されています。未洗浄の写真の早急な対応、まだ持ち主の元へ戻されていない写真や思い出の品々の対応を、今後も長期的に行なっていきたいとのことです。

東文救のこの活動は、りんりん基金の支援を受けています。



当日参加されたボランティアの方々。一枚一枚丁寧に写真の洗浄作業を行なっている。



賞状はすでにボランティアの方々によりドライクリーニングが終了していたため、復旧システムの洗浄と、その後の乾燥・フラットニングを主に行なった。



白岩氏によるバライタ写真洗浄のデモンストレーション。乾燥・フラットニングにはエア・ストリーム乾燥法を使用した。



左が自然乾燥したもの。右がエア・ストリーム乾燥法で乾燥したもの。自然乾燥したものと比べると波打ちとカーリングが圧倒的に少ない。


震災復興ボランティア団体「おもいでかえる」のブログサイトでご紹介いただきました。

2012年10月3日水曜日

陸前高田被災資料デジタル化プロジェクトにドライクリーニング・ボックスを貸与しました

被災した陸前高田市の市立博物館の写真資料の修復保存とデジタル化を進めている陸前高田被災資料デジタル化プロジェクトに東文救が開発したドライクリーニング・ボックスが5台無償貸与され、作業現場である東京総合写真専門学校などに導入されました。

東文救のこの活動は、りんりん基金の支援を受けています。



陸前高田被災資料デジタル化プロジェクトの活動履歴のページでご紹介いただいています。

2012年9月21日金曜日

全史料協関東部会例会「公文書レスキュー活動と地域資料の保全体制について」が開催、神奈川県立公文書館と茨城県内の活動報告

9月14日に神奈川県立公文書館に於いて全史料協関東部会第268回定例研究会が開催され、神奈川県立公文書館資料課行政資料グループ遠藤茂氏と同被災公文書レスキュー隊リーダー木本洋祐氏による「神奈川県立公文書館の陸前高田市役所公文書レスキュー活動について」と、常陸大宮市歴史民俗資料館学芸員の高村恵美氏による「茨城県内における地域レスキュー活動と自治体」が報告されました。




神奈川県立公文書館のレスキュー活動では、東京文書救援隊システムの内、簡易ドライクリーニングボックス、密閉型ドライクリーニングボックス、エアストリーム法による乾燥が導入されています。今月末に作業は終了し、1,227冊全ての簿冊が陸前高田市に返還される予定です。





2012年7月9日月曜日

国立公文書館編集・刊行『アーカイブズ:Archives』第47号が刊行されています


国立公文書館から『アーカイブズ:Archives』第47号が刊行されています。表紙では東文救システムを利用した、国立公文書館による被災公文書等の修復手順を写真で紹介しています。

また、朝倉亮氏『被災公文書等修復支援事業について』(PDF 829KB)では、国立公文書館が平成23年度に行った「被災公文書等修復支援事業」実施までの経緯と、東北各地で行った支援事業を地域ごとに報告しています。

国立公文書館では「被災公文書等修復支援事業」の中で当初から東文救システムを導入しており、「当該修復方法は、短期間の研修によって必要な技術を習得でき、必要な機材及び消耗品が比較的安価に調達できるため、被災自治体における導入が容易なものとして選択したものである。」(p.29)と評価していただいています。


『アーカイブズ:Archives』第47号
編集・刊行: 独立行政法人国立公文書館
発行日: 2012年6月1日
下記ページから全文をダウンロードできます。
アーカイブズ:第47号 (平成24年6月)


国立公文書館による今年度の被災公文書等修復支援事業については、以下のリンクをご覧ください。


2012年6月27日水曜日

東京文書救援隊の初年度活動報告および本2年度に向けて

2011年6月に発足しました東京文書救援隊は、活動開始から1年を経過しております。この間、皆さま方には多大のご支援、ご厚情をいただき、真に有難うございました。この機会に改めて、深謝申し上げます。

お陰さまで私どもは、隊設立の志と趣旨に即し、東日本大震災により被災した図書・文書類の救済・復旧現場に対し、考案しました文書復旧システム(略称:東文救システム)の導入支援を行ってきております。その具体的内容は昨年末に発足以来の活動報告をやや詳細にいたしましたので、今次は、私共が初年度に行った事業の報告と会計報告を一覧表でお示しいたします。各具体例につきましては、逐次、当方ブログhttp://toubunq.blogspot.com/ に掲載しておりますのでご参照いただければ幸いです。

私どもの技術システムと活動は、被災文書等復旧に当たっておられる諸々の機関・団体の方がた及び文書等保存の関係者から、大変、高い評価を得ておりますことを併せてご報告いたします。

私どもは、発足当初、まずは1年間を活動の目途としていると申し上げました。が、今年に入ってからも各方面から文書等復旧に関わる相談・問合せがありますので、要請に応え、活動を継続することにいたしました。本2年度目は、従来の活動内容を踏襲するとともに、全国的・地域的な被災文書等支援ネットワークとのより緊密な協同を念頭に、一層、強力かつ幅広い支援を心がけてまいりたいと存じております。

皆さま方の引き続きのご理解、ご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。


東京文書救援隊
代表 安江明夫
事務局長 木部徹

















初年度活動報告書
平成23年6月1日~平成24年5月31日
東京文書救援隊

支援機関等 計11か所
年月日
導入先
2011年 7月14日 大船渡市社会福祉協議会
7月15日 東北大学内宮城歴史資料保全ネットワーク(宮城資料ネット)
8月1日 群馬県立文書館
8月2日 岩手県遠野市遠野文化研究センター
9月5日 宮城県石巻市教育委員会
9月12日 岩手県宮古市(国立公文書館による被災公文書修復事業支援)
11月14日 法政大学環境サスティナビリティ研究教育機構(環境サス研)
2012年 1月16日 宮城県気仙沼市(国立公文書館による被災公文書修復事業支援)
2月6日 宮城県石巻市(国立公文書館による被災公文書修復事業支援)
3月2日 宮城県多賀城市教育委員会
5月30日 神奈川県立公文書館
この他、国立公文書館による被災公文書修復事業支援で、宮城県陸前高田市、宮城県仙台市、岩手県山田町に東文救システムが導入された。

東文救による発表等 計7件
年月日
講演その他
内容
2011年 8月29日 大学図書館問題第42回全国大会(開催地:東京) 講演
9月13日 全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)関東部会第263回定例研究会 講演・システム実演
10月14日 全国図書館大会第11分科会 講演・システム実演
10月27~28日 全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)群馬大会 ポスター展示
11月8日 繊維学会紙パルプ部会 講演
12月21日 奈良文化財研究所保存科学研究集会 システム実演・ポスター発表
2012年 5月29日 東南アジア図書館人会議(インドネシア) 講演


展示 計2件
年月
展示場所
2012年 3月 仙台市博物館「東日本大震災1年 資料レスキュー展」
5月 神奈川県立公文書館「陸前高田市被災公文書レスキュー事業」


出版物・メディア掲載 計15件
年月日
記事・論文・報告
2011年 6月25日 「自治体公文書 大震災で打撃」日本経済新聞
7月15日 「被災の手紙など洗浄、大船渡の団体に乾燥用扇風機」日本経済新聞
7月18日 「身近な道具で紙を修復」日本経済新聞
9月14日 「東日本大震災:津波で汚れた公文書を修復-宮古/岩手」毎日新聞
10月 「国立公文書館の動き(平成23年6月~9月)」『アーカイブズ』第45号
12月 木部徹 「東京文書救援隊の文書復旧システム-その考え方と技術」 『平成23年度保存科学研究集会 被災文化財のレスキュー-保存科学の果たすべき役割と課題-予稿集』
2012年 1月24日 「被災文化財を救え」読売新聞
1月 中田孝信 「平成23年度全国図書館大会ハイライト 第11分科会 災害と資料保存」 『図書館雑誌』 Vol.106 No.1
2月 神奈川県立公文書館だより 第27号
2月 高山正也 「被災アーカイブズを救え! - 「悲惨」から「明日への希望」の発見へ」 『アーカイブズ』第46号
3月 安江明夫 「蔵書の防災計画:図書館の"must"」 『大学図書館研究』Vol.94
3月 木部徹 「東京文書救援隊の文書復旧システム-その考え方と技術」 『全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)会報』 No.91
3月 中台綾子 「第263回定例研究会参加記 被災資料の復旧を学ぶ」 『全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)関東部会会報』 No.77
4月 岡田昭二 「災害と被災資料の救援活動-群馬県立文書館の取り組み-」 『双文』 Vol.29
4月 瀧沢典枝 「宮城県女川町被災公文書の受け入れと応急措置」 『双文』 Vol.29





初年度収支報告書
平成23年6月1日~平成24年5月31日
東京文書救援隊

(単位 円)
科目
決算
摘要
Ⅰ経常収入の部
1.寄付金収入
個人
法人・団体
2.助成金収入
3.その他
受取利息



1,465,000
1,482,520
1,991,000

243





メセナ事業団  りんりん基金



(経常収入合計)(A)
4,938,763
Ⅱ経常支出の部
1.事業費(活動費)
資材費
旅費交通費
荷造発送費
雑費
2.管理費
事務用品費
通信費
旅費交通費
支払手数料
保険料
租税公課



1,235,044
923,633
20,310
14,860

47,893
80,959
340
8,370
42,000
48







チラシ ポスター 名刺他
電話

振込手数料
ボランティア保険
受取利息税金
(経常支出合計)(B)
2,373,457

当期収支差額 (A)-(B)
2,565,306
次期繰越収支差額
2,565,306




<文書等復旧作業風景>

ドライクリーニング/神奈川県立公文書館









作業に携わった方々と一緒に/プロジェクト結、富士ゼロックス

2012年6月21日木曜日

プロジェクト結(ゆい)と富士ゼロックスの被災文書救済・復旧活動に東文救システムを導入―259人が従事

2012年6月11日(月)~14日(木) の4日間、宮城県石巻市桃生総合センターの体育館にて、石巻市教育委員会、プロジェクト結富士ゼロックス、東京文書救援隊の協働で、石巻市内の被災した学校が所有する永久保存文書の復旧作業が行われました。

今回の活動は、被災地石巻の複数の学校が持つ被災文書を救済する活動支援のため、現地でボランティア活動を展開するプロジェクト結(東日本大震災で被災した子どもたちの学びと遊びを支援するためのコンソーシアム)から支援要請があり、プロジェクト結の賛同団体である富士ゼロックスの協力により実現。同社の被災地復興支援の一環として新入社員259人を現地に派遣し、人海戦術で学校の永久保存文書約10,000枚の復旧作業を行うというもの。東京文書救援隊は、現地での設営とスキル・トレーニング、作業のフォローをする支援のかたちになりました。

東文救は3名の技術者を4日間派遣し、富士ゼロックスの社員の方々に設営と機材への細かいアドバイス、文書のナンバリングから解体、ドライクリーニング、洗浄、乾燥方法を実演・指導しました。4日間の内、実作業時間は延べ8時間。最終的に47冊、4,500枚の文書の洗浄が完了しました。また乾燥まで終了した一部の資料を東文救スタッフが綴じ直しまで行いました。その他の資料には、資料形態と状態に合わせた指示書を添え、今回の支援活動を終了しました。

重要文書類については、資料の復旧後に、富士ゼロックスのデジタル複合機でコピーを作り、デジタル化も行いました。富士ゼロックスは今後、プロジェクト結と連携して被災文書の復旧活動を継続的に行う予定であるとのことです。

東文救のこの活動は、りんりん基金の支援を受けています。




写真左:屋外で行うドライクリーニングのためのテント設営風景
写真中:資料状態を確認しながら、ナンバーを付けた。日程を考慮し、優先度の高い資料の中から、復旧処置が可能な60冊を選別した。
写真右:(左から)プロジェクト結 理事長 長尾彰氏、理事 中川綾氏、東文救スタッフ、富士ゼロックストレーナー村上氏の打合せ





東文救スタッフによる文書復旧システムの一連の工程の実演と技術指導




被災資料の復旧処置をする富士ゼロックス新入社員の皆さん。東文救処置ラインが13ライン設置され、チームごとに作業をスタートした



2012年6月7日木曜日

文化財防災ウィールのiPhone版(英文)が出ました

米国の国立公園協会(National Park Service)のNCPTT (National Center for Preservation Technology and Training)が1997年に公開し、日本でも文化財保存修復学会の災害対策調査部会が中心となり監修・発行されている文化財防災ウィール(Emergency Response and Salvage Wheel)が、2011年版を元に、内容も改訂され、このほど iPhone アプリとして公開されました。無料。




組み立ては災害発生時の警告、人の避難、被災後の現場の安定化、被害の記録化、緊急避難・保護、被害のアセスメント、サルベージの優先順位付け、建物の保全。そして乾燥を中心にした緊急避難法と、本・文書、セラミックス、電子記録、絵画、家具、金属製品、自然博物、革製品その他とモノ別の緊急対処法が簡潔にまとめられています。

外部リンクのひとつ、The National Institute for Conservation の Information on Major Disasters には東日本大震災のページ(Disaster Archiv: Japan Earthquake ande Tsunami 2011)もあり、HANDLING OF RADIATION CONTAMINATED LIBRARY AND ARCHIVAL MATERIALS (被曝資料の取扱い) Compiled from responses on the Conservation DistList and other resources by Toru Kibe and Kaname Shimada of Shiryouhozon-kizai Co., Ltd. (http://www.hozon.co.jp/hobo/category/disaster_radiation.html)も掲載されています。





2012年6月4日月曜日

新刊『災害から文化財をまもる』--NPO宮城ネットワークによる被災資料レスキューも



文化財保存修復学会編『文化財の保存と修復14 災害から文化財をまもる』が刊行されました。昨年12月に国立民族学博物館で開催されたシンポジウムの記録です。


基調講演―――――――――
1. 阪神・淡路大震災から東日本大震災 三輪嘉六(九州国立博物館長)
2. 3.11大震災と宮城ネットの被災資料レスキュー活動からみえてきたこと 
  佐藤大介(東北大学災害科学国際研究所助教、NPO法人宮城歴史資料
  保全ネットワーク事務局長)

活動報告―――――――――
1. 1995年、阪神・淡路大震災での文化財救出作業について 
  内田俊秀(京都造形芸術大学・災害対策調査部会 理事)
2. 新潟県中越地震における活動の課題 救援の要請と被災資料の修理 
  本田光子(九州国立博物館学芸部博物館科学課長)
3. 能登半島地震における文化財復興支援活動 被災資料の調査・修復から復興へ
  中村晋也(金沢学院大学文学部歴史文化学科准教授)
4. 東日本大震災における文化財レスキューについて 民俗資料を中心に
  日高真吾(国立民族学博物館)

パネルディスカッション―――――――――
文化財レスキュー16年の歩みと今後 コーディネーター 森田 稔(九州国立博物館副館長)

このうち佐藤大介氏の「3.11大震災と宮城ネットの被災資料レスキュー活動からみえてきたこと」は、2003年7月に発生した宮城県北部での直下型地震による被災資料のレスキューから始まった宮城歴史資料保全ネットワークのこれまでの活動経緯の紹介。とりわけ、「災害が起こってから活動するのではなく、災害の「前」にできるだけ多くの歴史資料の所在を確認し、それを保全していくことが重要である」(p.27)という指摘は、とかく「被災後」のレスキューに力点が置かれがちな災害対策の在り方を見直す意味でも重要と思います。

 宮城歴史資料保全ネットワークでは様々なレスキュー法のひとつとして東文救システムも導入しており、そのことも文中で触れていただいています(p.37-38)。


 文化財の保存と修復14 『災害から文化財をまもる』
編集: 一般社団法人 文化財保存修復学会
発行日: 2012年6月2日
発行所: ㈱クバプロ
http://www.kuba.co.jp/syoseki/detail.php?no=3270
判型: B5判変形、113p
定価: 1,200円(税別)

2012年5月30日水曜日

神奈川県立公文書館による被災公文書レスキュー事業にドライクリーニングボックスが活用されています




神奈川県立公文書館が昨年10月にスタートした被災公文書レスキュー事業に、東文救のドライクリーニングボックスが導入され、乾燥した汚泥の除去に使われています。

レスキューの対象資料は岩手県陸前高田市の公文書。陸前高田市が修復を希望する永年保存文書を中心に、緊急雇用基金を活用した作業者による復旧作業が進められ、昨年度は514点が、復旧されました。

これに続き今年度は700点への作業が進んでいます。作業は9月まで継続され、累計で合計で約1200点の公文書を使用に耐える状態にまで復旧し、市側に返却する予定です。

また、これに併せて同館では、一階のロビーにレスキュー事業の概要を知らせるミニ展示を行なっています。作業の工程が一目でわかるパネルとともに、作業で使用する資材や道具を展示しています。




同館のサイトには以下のページが掲載されており、昨年度から現在までのレスキュー事業が概観できます。




2012年3月12日月曜日

仙台市博物館が被災した歴史資料のレスキュー展を25日まで開催

仙台市博物館は、同館が行なってきた東日本大震災で被災した資料のレスキュー活動を知らせる展示会「東日本大震災1年 資料レスキュー展」を同館1階のギャラチーで開催しています。3月25日(日)まで。

同レスキュー活動は文化庁、宮城歴史資料保全ネットワーク等の協力を得て進められているもの。このうち国立公文書館の「被災公文書等修復支援事業」のひとつとして1月23日から3月2日まで同館で行われた活動では、仙台市内の学校資料(明治から平成までの約400点)や若林区荒浜の消防署資料等の復旧に東文救文書復旧システムが導入されました。展示では、実際に救出され、洗浄や乾燥・フラットニングそして綴じ直しが行われた古文書とともに、復旧システムの各工程が解る資材や道具と、作業方法が解るビデオも公開されています。






2012年3月7日水曜日

多賀城市教育委員会に文書復旧システムが導入されました

多賀城市教育委員会が救出した襖の裏張り文書の復旧のために、3月2日に東文救文書復旧システムを多賀城市文化センター埋蔵文化調査センター(多賀城市中央二丁目27-10)に設置しスキル・トレーニングを行いました。

対象資料は約400枚。襖の裏張りであったためか泥汚れはわずかで、すでに文化財課の方々により一枚物になり乾燥も終了しています。このため復旧システムは海水の脱塩のための洗浄と、その後の乾燥・フラットニングが主になりました。

今回は、対象資料の数が少なく、短期間で作業が終了することもあり、洗浄以降に必要な資材のうちろ紙や不織布等は無償提供ですが、洗浄槽や扇風機などは貸与、すなわち使用後には返して頂くという支援のかたちになりました。