独立行政法人国立公文書館による被災公文書等修復支援事業の開始にともない16日に、東文救文書復旧システムが気仙沼市と陸前高田市の作業場に導入され、緊急雇用された地元の方々による被災公文書復旧の作業がスタートしました。これに続き、仙台市、石巻市、山田町での事業にも復旧システムの導入が予定されています。
2012年1月17日火曜日
2012年1月13日金曜日
救援隊活動の半年レポート---着実に成果をあげています
本年6月に活動開始しました東京文書救援隊は、多くの方々のご賛同・ご支援を得、お陰さまで順調に、当初の意図どおりの成果を挙げてきております。発足半年を経ました現時点で、ご支援の皆さま方に、活動記録を月ごとに整理してご報告いたします。引き続きのご支援、ご協力をお願い申し上げます。
東京文書救援隊の発足まで
4月、図書館・アーカイブズの資料保存に長く関わってきた立場の者として、被災した資料の救助の支援活動について、安江明夫(元・国立国会図書館副館長)と木部徹(株式会社資料保存器材代表)が東京でボランティアを組織して被災資料の復旧作業を実施することを考えたが、すでにこうした救済活動は現地で始まっており、また資料を現地から運び出すことが難しいために断念。その後、海水と汚泥を被った文書資料の復旧技術の開発と普及をボランティアとして行えると確信を得、直ちに技術開発に着手。
発足後の活動記録(6月-12月)
2011年6月
1日、東文救発足、HPの立ち上げ。HPに発足のご挨拶とともに「私たちがお手伝いできること」として東文救の活動と提供する文書復旧システムの概要を掲載。同時に、活動資金となる募金のお願いを掲載。またボランティアとしての活動期間を一ヶ年と定めた。
東文救システムの要である乾燥・フラットニングのための「エアー・ストリーミング法」を科学的に裏付けた論文 Air-Stream Drying of Paper の翻訳・掲載願いを著書から得、邦訳「エア・ストリーム乾燥法--大量の湿った紙媒体を早く、平らに乾燥する」を6月23日付のHPに掲載。
震災直後に被災地の岩手県大船渡市に入り写真の救出に尽力している白岩洋子氏(紙本と写真の修復家)の「水害にあった写真の救出方法」を著者の了解を得てHPに掲載。
6月下旬、東文救支援活動の認知と復旧システムの導入を働きかけるために、大船渡市(総合福祉センター)、石巻市(石巻文化センター)の被災地での救助の現場を訪問。また被災資料救助活動を行っているNPO宮城歴史資料保全ネットワーク(東北大学)と遠野市(遠野文化研究センター)を訪問。協議の上、上記4か所に対する支援を確定。
6月28日、国立公文書館や国立国会図書館の職員等に復旧システムのプレゼンテーションを実施。
2011年7月
被災各地で被災資料の拾い出しと乾燥作業が開始されたが、作業者へのカビやアスベストによる二次被災、とりわけ乾燥作業による健康被害が懸念されることから、HPに「緊急避難させた本や文書のカビの発生と拡大はどのように防いだら良いのか」を急遽翻訳、掲載。また、東文救システムの理解のために詳細なマニュアルと工程の動画を作成し掲載。
一方、国際的な資料保存のメーリングリスト ConsDistlist に「海水の被害を受けた紙資料の救助」を投稿、海外のコンサーバーターや保存科学者からの回答を得た。回答の結論は「前例が無く、将来の影響も不明」。
7月13日、女川町被災公文書の復旧処置を実施している群馬県立文書館を訪問。被災資料の状態や作業場を拝見するとともに、東文救システムを紹介。
7月14、15日、大船渡市Y・S(ユース&シルバー)センターと東北大学東北アジア研究センター内の宮城資料保全ネットワーク事務局で、それぞれシステム設営とスキルトレーニングを実施。15日の活動には国立公文書館修復係2名が同行。大船渡市救助活動リーダー・金野聡子さんは「これまでの洗浄や乾燥方法は何だったのかと思えるほど、画期的なシステム。専門家ではない人もすぐに一定レベルの処置ができることで、雇用にも結びつく」と評価。
2011年8月
海水で被災した紙資料の長期的な影響を見るため、現地拾い出し書籍と被災していない同じ書籍を比較試験することを東京藝術大学保存科学教室の稲葉政満教授に依頼。稲葉教授らは、12月末に開催される奈良文化財研究所主催の保存科学研究集会での成果発表を目指して、洗浄効果や比較加速劣化試験等に着手。
1日、群馬県立文書館職員が復旧システムの視察とスキルトレーニングのために東文救に来訪、簡易な製本方法の研修を実施。その後、現在乾燥とクリーニング進んでいる被災文書への適用の可能性を協議、その結果、一部資料に対し復旧システムを使用することに。東文救からは濾紙や不織布などの資材を提供。
2日、岩手県遠野市遠野文化研究センターに復旧システムを導入。「これほど簡単に紙が洗え、早く乾かせて、しかも塩を含んだ紙特有のベタベタ感がなくなったのには驚いた」との評価。
公益社団法人企業メセナ協議会からの「被災文化祭(文書等)の復旧支援」助成が決定。同助成により、石巻文化センター支援のための専門家派遣や復旧システム設置。
国立公文書館が東日本大震災による被災した自治体の公文書等の復旧活動を本格的に始めることを決め、東文救システムを採用したい旨の申し入れあり。了承。
東文救システムは技術・ノウハウ・特許の全てをHPに公開しているが、独自のシステムとして創り上げたものだけに、使用にあたっては当方にお知らせいただくと共に、口頭あるいは論文等での発表の際には「東文救復旧システム」のクレジット付加をシステム利用の条件とする旨を8月12日付けHPに掲載。
22日、白岩洋子氏(紙本と写真の修復家)が来訪し、洗浄した被災写真資料の乾燥にエアー・ストリーミング法の適用を試験。適用可能である旨の発表を11月1日開催の日本写真学会画像保存セミナーで発表。
24日、東文救スタッフが群馬県立文書館を再訪し、使用機材へのアドバイスと薄い資料の洗浄・乾燥方法を実演・指導。
29日、大学図書館問題研究大会(開催地:東京)で東文救の活動報告。
2011年9月
1~2日、国立公文書館の救済事業支援のために同館職員に同行し、岩手県釜石市、陸前高田市、宮城県気仙沼市の市役所を訪問。
5~6日、宮城県石巻市被災文書復旧のための東文救システムを石巻市埋蔵文化財整理室(大瓜字鷹の巣)に導入。システム設営には約2時間、スキルトレーニングには約半日を要し、すぐに作業を開始。対象は埋蔵文化財発掘や保存の報告書や図面類。システム設営から作業までの一連の動画を、許可を得て9月22日付けHPに掲載。
9月12日、国立公文書館による岩手県宮古市の公文書等の修復支援事業に同行し、システム設営、技術指導とスキルトレーニングを支援。現地雇用の作業員は8名で、被災した住居表示台帳の泥汚れ、塩抜き、乾燥・フラットニングに従事。市総務課は「住居表示台帳はデータベース化されていなかったのでとても助かる」(毎日新聞の記事から引用)。
9月13日、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)関東部会第263回定例研究会で「被災資料を復旧する--東京文書救援隊の考え方と技術」として講演と実演。「あのような形で資料復旧ができるのか、と目からウロコの思いだった。システムは、特別な技術を要さない点、身の周りの道具で実践可能な点で、大変画期的で感動した」(参加者の言葉)
28日、陸前高田市被災公文書復旧支援を計画した神奈川県公文書館を訪問し、説明。
2011年10月
14日、全国図書館大会第11分科会「災害と資料保存」で講演とワークショップを実施。ワークショップでは、文書復旧システムを参加者が体験。実体験希望者が多く、活気ある会に。
法政大学サステイナビリティ研究教育機構が進めている前高田市議会被災文書救援プロジェクトからの支援要請を受けて、同活動への支援を行うことに。
17~18日、石巻市石巻文化センターに対するフォローアップ支援。対象資料は専門家でなくては扱いが困難なひどい被災の大型図面類。東文救では大型の一枚ものの洗浄のために水槽などの必要な資材を無償提供するとともに、3名の技術者を派遣し、汚泥とカビで固着した図面をマップケースから剥がし、一枚ものにして予備乾燥するとともに、大型水槽での洗浄と乾燥・フラットニングの作業を指導。
19日、遠野市遠野文化研究センターを訪問。フォローアップとして文書の破れや破損を和紙と糊で補修する方法と簿冊の製本法を指導。
27~28日、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)群馬大会に東文救活動紹介ポスターを展示。
2011年11月
4日、法政大学サステイナビリティ研究教育機構文書救援プロジェクト支援のため、復旧作業の現場(東京都八王子市めじろ台)を訪問。
8日、繊維学会紙パルプ部会で「東文救文書復旧システム—そのコンセプトと技術」として講演。
14日、法政大学プロジェクト支援のための文書復旧システムを作業現場に設営、スキルトレーニングを実施。
その他、新潟県立公文書館、企業史料協議会、女性教育会館、広島県立文書館等での講演会で東文救の活動を紹介。
2011年12月
東京藝術大学保存科学教室に依頼していた「海水被災の紙資料への影響試験」の結果がまとまり、中間報告を受けた。総じて、塩化ナトリウムの将来の劣化への影響はほとんどないということだった。また、東文救システムの洗浄方法により、99%以上、紙からの塩分はなくなることも判った。サンプルの紙がいわゆる書籍用の中性上質紙であり、これひとつの試験結果を他の紙類へ敷衍することは早計だが、当初懸念された「塩害」の大きな影響はない可能性が高いことが確認できた。この試験結果は東文救との共同研究というかたちで21日に奈良文化財研究所で開催された発表集会「被災文化財のレスキュー:保存科学の果たすべき役割と課題」で「海水で被災した紙資料の洗浄と湿熱劣化試験」として発表され、全文を東文救HPに掲載した。またこの集会では「東京文書救援隊の文書復旧システム--その考え方と技術」として実演を行った。
7日、神奈川県立公文書館から2名が来訪、東文救システムの見学と支援について意見を交換、同館で進められている陸前高田市の被災公文書復旧作業(主として乾燥とドライ・クリーニング)へ、当システムのユニットであるドライクリーニング・ボックスの導入(有償での調達)依頼を了解した。
8日、江前敏晴・東京大学大学院製紙科学研究室准教授らが来訪、東文救システムの見学の後に紙への塩の影響について意見交換、カビの抑制効果で協力した研究を行えないかを相談した。
2012年1月以降の予定
国立公文書館の被災公文書修復事業支援として、16日に宮城県気仙沼市に、2月6日に宮城県石巻市に、被災公文書復旧のために、同館職員と共に、東文救システム設営とスキルトレーニングを行う。それぞれの地域で20名程度の緊急雇用と2ヶ月程度の作業が予定されている。また、国立公文書館ではこの他に、陸前高田市、仙台市、岩手県山田町の公文書資料復旧支援を行うが、これら地域にも東文救システムが導入される。
東京文書救援隊の発足まで
4月、図書館・アーカイブズの資料保存に長く関わってきた立場の者として、被災した資料の救助の支援活動について、安江明夫(元・国立国会図書館副館長)と木部徹(株式会社資料保存器材代表)が東京でボランティアを組織して被災資料の復旧作業を実施することを考えたが、すでにこうした救済活動は現地で始まっており、また資料を現地から運び出すことが難しいために断念。その後、海水と汚泥を被った文書資料の復旧技術の開発と普及をボランティアとして行えると確信を得、直ちに技術開発に着手。
発足後の活動記録(6月-12月)
2011年6月
1日、東文救発足、HPの立ち上げ。HPに発足のご挨拶とともに「私たちがお手伝いできること」として東文救の活動と提供する文書復旧システムの概要を掲載。同時に、活動資金となる募金のお願いを掲載。またボランティアとしての活動期間を一ヶ年と定めた。
東文救システムの要である乾燥・フラットニングのための「エアー・ストリーミング法」を科学的に裏付けた論文 Air-Stream Drying of Paper の翻訳・掲載願いを著書から得、邦訳「エア・ストリーム乾燥法--大量の湿った紙媒体を早く、平らに乾燥する」を6月23日付のHPに掲載。
震災直後に被災地の岩手県大船渡市に入り写真の救出に尽力している白岩洋子氏(紙本と写真の修復家)の「水害にあった写真の救出方法」を著者の了解を得てHPに掲載。
6月下旬、東文救支援活動の認知と復旧システムの導入を働きかけるために、大船渡市(総合福祉センター)、石巻市(石巻文化センター)の被災地での救助の現場を訪問。また被災資料救助活動を行っているNPO宮城歴史資料保全ネットワーク(東北大学)と遠野市(遠野文化研究センター)を訪問。協議の上、上記4か所に対する支援を確定。
6月28日、国立公文書館や国立国会図書館の職員等に復旧システムのプレゼンテーションを実施。
2011年7月
被災各地で被災資料の拾い出しと乾燥作業が開始されたが、作業者へのカビやアスベストによる二次被災、とりわけ乾燥作業による健康被害が懸念されることから、HPに「緊急避難させた本や文書のカビの発生と拡大はどのように防いだら良いのか」を急遽翻訳、掲載。また、東文救システムの理解のために詳細なマニュアルと工程の動画を作成し掲載。
一方、国際的な資料保存のメーリングリスト ConsDistlist に「海水の被害を受けた紙資料の救助」を投稿、海外のコンサーバーターや保存科学者からの回答を得た。回答の結論は「前例が無く、将来の影響も不明」。
7月13日、女川町被災公文書の復旧処置を実施している群馬県立文書館を訪問。被災資料の状態や作業場を拝見するとともに、東文救システムを紹介。
7月14、15日、大船渡市Y・S(ユース&シルバー)センターと東北大学東北アジア研究センター内の宮城資料保全ネットワーク事務局で、それぞれシステム設営とスキルトレーニングを実施。15日の活動には国立公文書館修復係2名が同行。大船渡市救助活動リーダー・金野聡子さんは「これまでの洗浄や乾燥方法は何だったのかと思えるほど、画期的なシステム。専門家ではない人もすぐに一定レベルの処置ができることで、雇用にも結びつく」と評価。
2011年8月
海水で被災した紙資料の長期的な影響を見るため、現地拾い出し書籍と被災していない同じ書籍を比較試験することを東京藝術大学保存科学教室の稲葉政満教授に依頼。稲葉教授らは、12月末に開催される奈良文化財研究所主催の保存科学研究集会での成果発表を目指して、洗浄効果や比較加速劣化試験等に着手。
1日、群馬県立文書館職員が復旧システムの視察とスキルトレーニングのために東文救に来訪、簡易な製本方法の研修を実施。その後、現在乾燥とクリーニング進んでいる被災文書への適用の可能性を協議、その結果、一部資料に対し復旧システムを使用することに。東文救からは濾紙や不織布などの資材を提供。
2日、岩手県遠野市遠野文化研究センターに復旧システムを導入。「これほど簡単に紙が洗え、早く乾かせて、しかも塩を含んだ紙特有のベタベタ感がなくなったのには驚いた」との評価。
公益社団法人企業メセナ協議会からの「被災文化祭(文書等)の復旧支援」助成が決定。同助成により、石巻文化センター支援のための専門家派遣や復旧システム設置。
国立公文書館が東日本大震災による被災した自治体の公文書等の復旧活動を本格的に始めることを決め、東文救システムを採用したい旨の申し入れあり。了承。
東文救システムは技術・ノウハウ・特許の全てをHPに公開しているが、独自のシステムとして創り上げたものだけに、使用にあたっては当方にお知らせいただくと共に、口頭あるいは論文等での発表の際には「東文救復旧システム」のクレジット付加をシステム利用の条件とする旨を8月12日付けHPに掲載。
22日、白岩洋子氏(紙本と写真の修復家)が来訪し、洗浄した被災写真資料の乾燥にエアー・ストリーミング法の適用を試験。適用可能である旨の発表を11月1日開催の日本写真学会画像保存セミナーで発表。
24日、東文救スタッフが群馬県立文書館を再訪し、使用機材へのアドバイスと薄い資料の洗浄・乾燥方法を実演・指導。
29日、大学図書館問題研究大会(開催地:東京)で東文救の活動報告。
2011年9月
1~2日、国立公文書館の救済事業支援のために同館職員に同行し、岩手県釜石市、陸前高田市、宮城県気仙沼市の市役所を訪問。
5~6日、宮城県石巻市被災文書復旧のための東文救システムを石巻市埋蔵文化財整理室(大瓜字鷹の巣)に導入。システム設営には約2時間、スキルトレーニングには約半日を要し、すぐに作業を開始。対象は埋蔵文化財発掘や保存の報告書や図面類。システム設営から作業までの一連の動画を、許可を得て9月22日付けHPに掲載。
9月12日、国立公文書館による岩手県宮古市の公文書等の修復支援事業に同行し、システム設営、技術指導とスキルトレーニングを支援。現地雇用の作業員は8名で、被災した住居表示台帳の泥汚れ、塩抜き、乾燥・フラットニングに従事。市総務課は「住居表示台帳はデータベース化されていなかったのでとても助かる」(毎日新聞の記事から引用)。
9月13日、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)関東部会第263回定例研究会で「被災資料を復旧する--東京文書救援隊の考え方と技術」として講演と実演。「あのような形で資料復旧ができるのか、と目からウロコの思いだった。システムは、特別な技術を要さない点、身の周りの道具で実践可能な点で、大変画期的で感動した」(参加者の言葉)
28日、陸前高田市被災公文書復旧支援を計画した神奈川県公文書館を訪問し、説明。
2011年10月
14日、全国図書館大会第11分科会「災害と資料保存」で講演とワークショップを実施。ワークショップでは、文書復旧システムを参加者が体験。実体験希望者が多く、活気ある会に。
法政大学サステイナビリティ研究教育機構が進めている前高田市議会被災文書救援プロジェクトからの支援要請を受けて、同活動への支援を行うことに。
17~18日、石巻市石巻文化センターに対するフォローアップ支援。対象資料は専門家でなくては扱いが困難なひどい被災の大型図面類。東文救では大型の一枚ものの洗浄のために水槽などの必要な資材を無償提供するとともに、3名の技術者を派遣し、汚泥とカビで固着した図面をマップケースから剥がし、一枚ものにして予備乾燥するとともに、大型水槽での洗浄と乾燥・フラットニングの作業を指導。
19日、遠野市遠野文化研究センターを訪問。フォローアップとして文書の破れや破損を和紙と糊で補修する方法と簿冊の製本法を指導。
27~28日、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)群馬大会に東文救活動紹介ポスターを展示。
2011年11月
4日、法政大学サステイナビリティ研究教育機構文書救援プロジェクト支援のため、復旧作業の現場(東京都八王子市めじろ台)を訪問。
8日、繊維学会紙パルプ部会で「東文救文書復旧システム—そのコンセプトと技術」として講演。
14日、法政大学プロジェクト支援のための文書復旧システムを作業現場に設営、スキルトレーニングを実施。
その他、新潟県立公文書館、企業史料協議会、女性教育会館、広島県立文書館等での講演会で東文救の活動を紹介。
2011年12月
東京藝術大学保存科学教室に依頼していた「海水被災の紙資料への影響試験」の結果がまとまり、中間報告を受けた。総じて、塩化ナトリウムの将来の劣化への影響はほとんどないということだった。また、東文救システムの洗浄方法により、99%以上、紙からの塩分はなくなることも判った。サンプルの紙がいわゆる書籍用の中性上質紙であり、これひとつの試験結果を他の紙類へ敷衍することは早計だが、当初懸念された「塩害」の大きな影響はない可能性が高いことが確認できた。この試験結果は東文救との共同研究というかたちで21日に奈良文化財研究所で開催された発表集会「被災文化財のレスキュー:保存科学の果たすべき役割と課題」で「海水で被災した紙資料の洗浄と湿熱劣化試験」として発表され、全文を東文救HPに掲載した。またこの集会では「東京文書救援隊の文書復旧システム--その考え方と技術」として実演を行った。
7日、神奈川県立公文書館から2名が来訪、東文救システムの見学と支援について意見を交換、同館で進められている陸前高田市の被災公文書復旧作業(主として乾燥とドライ・クリーニング)へ、当システムのユニットであるドライクリーニング・ボックスの導入(有償での調達)依頼を了解した。
8日、江前敏晴・東京大学大学院製紙科学研究室准教授らが来訪、東文救システムの見学の後に紙への塩の影響について意見交換、カビの抑制効果で協力した研究を行えないかを相談した。
2012年1月以降の予定
国立公文書館の被災公文書修復事業支援として、16日に宮城県気仙沼市に、2月6日に宮城県石巻市に、被災公文書復旧のために、同館職員と共に、東文救システム設営とスキルトレーニングを行う。それぞれの地域で20名程度の緊急雇用と2ヶ月程度の作業が予定されている。また、国立公文書館ではこの他に、陸前高田市、仙台市、岩手県山田町の公文書資料復旧支援を行うが、これら地域にも東文救システムが導入される。
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