Tokyo Document Recovery Assistance Force
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2011年6月14日火曜日

日本ファイリングが東日本最大規模の真空乾燥と滅菌の一貫処置設備を稼働へ





株式会社日本ファイリング(本社:東京都千代田区)はこのほど茨城工場(茨城県常総市)に東日本最大規模の乾燥と滅菌が一度にできる真空乾燥・滅菌設備を設置した。同設備は本来は酸性劣化した図書や文書の脱酸性化プラントとして長く稼働してきたものだが、同社では今回の東日本大震災で被災した書籍や文書などの乾燥・滅菌設備への転用を進め、その目処が着いたとしている。

同設備の容量は7.6立方メートル。A4版の書籍ならば20~25冊収納できる専用コンテナが72個収納でき、一回の稼働で約1,000冊(A4版書籍換算)が処理できるという。処理時間は設備への搬入から搬出まで約4~5日。凍結乾燥等の従来法よりも格段に早く、しかも乾燥後のエチレン・オキサイドによる滅菌が同じ設備で連続して行えるのも特徴である。

ただ、海水に浸り泥に汚れたサンプルを元にした試験運転の結果、津波で被災した紙媒体資料を完全乾燥に持ち込むには、設備に入れる前に真水での洗浄を行う必要があることがわかった。これは、今回の被災資料が現場に放置された時間が長く、紙の中に海水が浸透し、過剰な塩分が残留しているのが理由という。塩が紙の中に入ったまま乾燥すると、乾燥時間を長くしても、塩の中の水を出し切るのは難しいとしている。こうした前処理は、凍結乾燥でも行われている不可避の作業になるとしている。このため同社では、受け入れた後に工場内で真水の流水による洗浄も行う体制も整えるという。事前洗浄は人手が必要な作業であり、このための費用は、乾燥・滅菌とは別になる。

依頼者は、同社から送られる専用コンテナに被災資料を詰め込み、それを同社の仙台市にある配送センターに送る。それを同社の専用車が引きとって茨城工場に送り、処理後に依頼者に送り返すという工程になる。

同社は同じ設備を使った脱酸性化処理では有数の技術と実績を持ち、書籍や文書の扱いにも慣れているが、今回のような泥と海水で被災した資料を扱うのは初。このため、真水での洗浄の日数や処理全体費用および代金など、まだ「手探り」の事項があるとしながらも、早急に見通しをつけて、東日本大震災で被災した資料の救助に貢献したいとしている。

日本ファイリングの被災資料の乾燥と滅菌の相談窓口は以下の通り。

株式会社日本ファイリング販売本部本店第2営業部・資料保存担当 須藤猛彦
電話:03-5294-3011 メール:t.sudo@nipponfiling.co.jp


※ 東京文書救援隊はこの設備の設営に全面的に協力しました。救援隊窓口でも当初の問い合わせには応じますが、内容を確認させていただいた後に、同社のご担当にバトンタッチします。救援隊自体が処置を行うことはありません。